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元町駅~三ノ宮駅間をなぜか5時間もかけて移動する変な旅  ~男二人旅 迂回乗車~ 


 “センタクジョウシャ”、“ウカイジョウシャ”・・・この奇妙な単語を耳にしたのは、職場の懇親会の場であった。私の周囲には、いつしか釣り好きではなく、話の筋から察するに鉄道が好きな人達が集まり、この奇妙な単語の話題で盛り上がっている。“センタク”とは、“洗濯”でもなく“先発”でもなく“選択”であり、“ウカイ”とは、“鵜飼”でもなく“うがい”でもなく“迂回”であるということを理解するのに、芋焼酎のお湯割りを一杯飲み干すのに十分な時間を要し、そしてようやく“選択乗車”、“迂回乗車”との漢字を当てはめることを理解した。
ちなみに私は、貧血気味で鉄分が不足しているとよく言われるのだが、所謂、こちらの“鉄分”も不足気味なので、鉄道に詳しい人達に“選択乗車”、“迂回乗車”について教えを乞うた。

 “選択乗車”、“迂回乗車”及び“大回り乗車”は、全て同義語で、例えば、電車でA地点からB地点に移動する際に、複数のルートが存在し、尚且つ運賃が同じ区間であるということらしく、簡単に言えば、(実際の説明は違ったと思うけど)山手線で品川駅から東京駅に移動する際に内回りでも、外回りでも運賃が同じというものと同じらしい。聞くところによると、僅か数分で移動出来るところを“如何に大回りするか”と言うところが、男のロマンであり、秘境の混浴であり、秘密基地であり、未知なる冒険であるようだ。簡単に言ってしまえば、“如何に安い運賃で、如何に長距離を移動するか”と言う部分が要であるようだ。もちろん合法である。


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 鉄分多めの方々からご教示頂いた方法は次のとおり。初心者向けとのこと。

乗換:5回
所要時間:4時間44分
運賃:120円

7:51発 元町(東海道本線)
↓JR東海道山陽本線快速 姫路行(44分)
8:35着 加古川

9:10発 加古川
↓JR加古川線 西脇市行(46分)
9:56着 西脇市

10:12発 西脇市
↓JR加古川線 谷川行(29分)
10:41着 谷川

10:48発 谷川
↓JR福知山線(宝塚線)篠山口行(22分)
11:10着 篠山口

11:14発 篠山口
↓丹波路快速 大阪行(1時間)
12:14着 尼崎(東海道本線)

12:20発 尼崎(東海道本線)
↓JR東海道山陽本線新快速 姫路行(15分)
12:35着 三ノ宮(JR)


 ちなみに、元町駅から三ノ宮駅間は普通に移動すれば、距離0.8㎞、2分であるが、これを迂回乗車にて、距離185.2㎞、時間4時間44分で移動するというもの。馬鹿げていると言われればそれまでだが、新年早々、時間が有り余ってしまったので、早起きをして次男と二人で旅立つことにする。


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 年始の寒波の影響で鉄道ダイヤが乱れに乱れているとの情報。この迂回乗車、電車の本数が極めて少ない地域を通過するので、最初に計画が乱れてしまうと、その後の選択肢が無くなってしまい、計画が実行出来なくなるという危うさを秘めている。早めに家を出たので、辛うじて東海道線の大幅な遅延に巻き込まれずに出発することに成功する。


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 元町駅に滑り込んできた快速電車。恐らく滋賀県産であろう雪が積もっている。元町駅の構内にあるパン屋さんで購入した焼きたてのパンを頬張りながら、朝陽に照らされた瀬戸内海を見ながら快適に移動する。


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 加古川駅で下車して、加古川線に乗り換える。この改札で切符を見せる必要が有り、事前に得た情報に則って、駅員さんに“大回り乗車中です”と告げると、“あっ、大回り中ですね”と返答があり、警察に通報されることも無く、キセルの罪で囚われることも無く、キャー変態と言われることも無く、無事に通過が許可された。意外にもあっさりとした応対だったので、きっと多くの人が、このシステムを利用しているのだろう。


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 加古川線での乗り継ぎが重要になるようで、ここで予定通りの電車に乗ることに失敗してしまうと、この壮大な計画が直ちに頓挫してしまう。


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 加古川駅から西脇市駅へと向かう電車。“ワンマン”で運行されているようだ。電車に隙間が多いのか、暖房の効きが甘いのか、外が寒すぎるのか、足元が寒くてかなわん、と思いながら、普段は見ない由緒正しき日本的な風景に見入る。ドアの開閉は、乗客が自らボタンを押す方法になっていて、無駄にドアの開け閉めが無くて、寒さが侵入せずに非常に便利であるが、“開けたら閉める”、関係ないけど“飲んだら乗るな”が徹底されておらず、足元が更に寒くてかなわん。ちゃんと閉めなはれ。


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 車窓からは、気持ちの良い白銀の世界が飛び込んできて、旅をしているなと感慨に耽ることが出来る。


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 西脇市駅から谷川駅に向かう電車に乗り換える。男気のある問答無用の一両編成であり、かつ一匹狼ワンマンで運行とのこと。良く見れば、車両が随分と新しい。意外にも電車に乗り込む乗客が多いことに驚く。きっと、お正月に帰省していた人達が、自宅に戻る途中なのであろうと思っていたが・・・。


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 電車の中はこのように小奇麗で、何と2列+1列という、飛行機のファーストクラスか、新幹線のグリーン車か、もしくは(乗ったことは無いけど)高級な夜行バスか、と言うような趣で、ゆとりのある座席配置に驚きを隠せない。更にトイレも付いている。電車が発車する頃には、座れない乗客が出るほどの混雑ぶりであるが、よくよく車両の中を見渡すと、帽子の二人組、熊のような大柄の男、熟年夫婦、巨大な三脚を持つ男などなど、先ほどからずっと、我々と同じ電車に乗っている客ではあるまいか・・・。彼らの共通点は、片手にカメラ、場合によっては、ヨレヨレに使い古された分厚い電話帳のような時刻表、そして何か大きな目的を達成してやろうとキラキラ輝く野望の眼差し。


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 加古川であろうか、白銀の世界と言うのは、景色を見事にする力がある。こんなにもゆったりとした景色に囲まれて余生を過ごすというのも選択肢のひとつだろう。暑いのと、寒いのが嫌いだけど、田舎暮らしのシミュレーションをしていると、鞄に詰め込んできた小説なんて読む時間も無い。


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 谷川駅に到着。雪の影響で電車が10分ほど遅れているとのアナウンス。子供と一緒に、掌で雪を丸く固めて遠投する。弱々しい球筋ながら、万有引力のお蔭で綺麗な放物線を描き、そしてふわふわの積雪の中に消えた。


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 程なくして、車体を小刻みに揺らしながら、電車が滑り込んできた。福知山線に乗り換えて、篠山口を目指す。


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 篠山口駅で丹波路快速に乗り換えて、尼崎を目指す。景色が徐々に見慣れた街の風景に変わりつつある。電車の中は、大きな荷物やらお土産やらを抱えた人達で混雑してきている。移動するために電車を利用されている立った乗客の方々には、わざわざ意味もなく大回りをしている手前、やや申し訳ないなという気持ちが芽生えるが、顔に疲れが浮かんでいるものの、いかにも頑健な若者ばかりであるので席を譲りはせず、更に、普段は“なんて座りにくい直角の背もたれの座席だ”と文句ばかり言っているが、なぜか今日の二人掛けの座席は思いのほか快適なので、息子との会話を楽しみつつ、ただの移動を楽しむことにする。


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 伊丹駅を通過。


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 ようやく三ノ宮駅に到着。元町駅からわずか2分で移動できる区間を、わざわざ大回りして5時間近くをかけて移動すると、例え自分の脚力を殆ど使用せず、電車に揺られていただけだと言うのに、達成感があり、充実感があり、未来に光が輝くのはどうしてだろうか。こうやって徐々に鉄分が増えるんだろうなと思ったが、やはり私は、移動のための移動の方が良いと再認識するのであった。


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